Chapter 3

水と世界の未来予想図

水から電気を作る
水素エネルギーは未来の切り札になるか

持続可能な未来のために、
水ができること。

水の未来は、地球の未来に関わります。世界の国々が協力し合わなければ課題の解決はできません。「世界193ヵ国が加盟する国連は持続可能な開発目標(SDGs)として17の大きな目標を掲げました。水と直接関係するのが目標6の『安全な水とトイレを世界中に』です。しかし水が関わってくるのはこれだけではないのです。清潔な水とトイレが整っていない国では、目標1の『貧困』、目標3の『健康』、目標10の『不平等』といった問題を抱えていることが多いからです。また、世界中に上下水道を整備することは目標9の『産業と技術革新の基盤をつくろう』にも関連してきます。目標13の『気候変動に具体的な対策を』、目標15の『陸の豊かさも守ろう』にも水は関わってきます。命の源である水は、さまざまな分野にまたがるがゆえに、水の未来を考えることが地球や私たちの未来を考えることにつながるのです」と大嶋さんは言います。

水から電気を作る。
水素社会はやってくるか。

温暖化を食い止めるには、世界全体でCO2を減らしていく必要があります。その手段のひとつとして注目を集めているのが水素エネルギーです。「水素と酸素を化学反応させると電気が発生します。排出されるのは水だけで、発電の他に燃料電池としても利用可能です。ただ、課題はあります。水から水素を取り出す際、大量の電力を必要とします。石油や天然ガスを燃やして作った電力を使えば意味がなくなるので、太陽光や風力などの自然エネルギーを使う方法が模索されています。バイオマス(動植物から作られる有機化合物)から水素を得る技術も磨かれてきました。水素社会の実現に向けた取り組みは温暖化を抑制し、水危機を回避するための切り札と言えるでしょう」と大嶋さんは言います。水の未来を明るくするのも、暗くするのも私たち人間です。いつまでも快適な水の惑星でありつづけるために、水の未来についてこれからも考えていかなければなりません。

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大嶋 賢洋

2007年より「インフォビジュアル研究所」の代表に就任。『14歳からの水と環境問題』『14歳から知る気候変動』(共に太田出版社)の他、多数のビジュアルコンテンツを編集・制作・出版している。

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